H.I.O.理論からスペシフィック・カイロプラクティックへ

B.JPalmer博士

B.J.Palmer博士

上部頸椎カイロプラクティックは、カイロプラクティックの創始者の子息でニ代目のB.J.パーマー博士によって確立されました。
それは「脳幹の尾側である延髄が位置する上部頸椎こそが人類の健康を左右する考慮すべき部位であり、この上部頸椎のサブラクセイションは部分的な疾患というよりもその影響は全身に及ぶものである」という説で、H.I.O.(Hole In One)学説として知られています。

上部頸椎と脳幹の関係性

上部頸椎と脳幹の関係性

B.J.パーマーは、医学がDisease(病気)という部分に対応、治療対象とするのに対してカイロプラクティックは、Dis-Easeという体全体に現れる不調(和)の根本原因に対応する、医学とは全く異なる職業であることを明確に区別しました。
Disとは、「〜でない」という否定を表します。Easeとは、「楽」を意味します。
つまりDis-Easeとはカイロプラクティック用語で「楽でない状態」=身体「全体の不調和」を意味します。病気は不調和という全体の中の部分であり、上部頸椎のサブラクセイションが取り除かれると、全体という不調和(秩序崩壊)は身体に生まれながらに内在する生得の英知によって調和(秩序回復)のとれた身体に再建されてゆくので、病気という部分は自然治癒という形で回復するというものです。事実、脳幹は生命の中枢であり、生命維持は医学的にも脳幹によって営まれているということは周知の通りです。

カイロプラクティックでは「自然治癒力は神経系を通して作用する」と教えています。つまり我々の身体は脳によって神経系を通して調整されており、その神経の束と言える脊髄を保護している椎骨(背骨)の歪み(変位)によって神経の流れが妨害され(サブラクセイション)、これが自然治癒の妨害の原因となるという考えのもとに、伝達を妨害している椎骨を手によって調整(アジャストメント)して脳からの神経伝達妨害を本来の流れに戻し、健康を回復させる手助けをするというものです。

生命とは全体性であり、病気という部分は常にこの生命という全体圏に依存しており、病気や症状という生命現象の裏には生命力が存在し、また生命「力」というその力の背景には宇宙の叡智という目には見えない存在があります。この叡智で創造された自然の力(生命力)は我々が知り得るすべての生命体の根源であり、人体においてそれは脳に作用し神経系を通して働きます。ですから、この生命力の働き如何によってそれに見合った病状、症状を呈することになります。

自然治癒力とは本源的にはこの生命力と同意であり、自然治癒力が十分に働いている状態では、病気(部分)は人間の意思とは無関係に自発的に快方に向かっていると解釈出来ます。そのために、上部頸椎専門カイロプラクティックでは、一般的な医療系カイロプラクティックや医療機関のように症状や病名に対しての対処はしません。あくまでも原因となりうる上部頸椎のサブラクセイションをアジャストメントし、自然治癒を待つという原因療法なのです。もちろん原因療法とはいっても患部が器質的疾患まで進行していて、アジャストメントによって神経伝達妨害を取り除いてもカイロプラクティックでいう「物質の限界」「適応の限界」に達しており、時間的にも十分な自然治癒が見込まれない場合には、医療機関での処置が必要であるという常識の上に成り立っていることはいうまでもありません。

カイロプラクティックの哲学は生気論として知られています。つまり、前述したとおり、身体には自らを常に最高の状態に維持させようとする建設的行為の本源である内在の英知(先天的知能=自然治癒力)が存在し、これが自らの命を死に至るまで維持させようと努めると教えます。この上部頸椎カイロプラクティックは、哲学・科学・芸術の三要素を十分に満たしており、この普遍的な考え方と実践は時代がどのように変わろうとも、この地球上に脳と首を持つ人類が存在しつづける限り人類の健康に貢献してゆくことでしよう。